「セミナーで聞いた話を実施してみたけれども上手くいかない」という相談を受けることがあることあります。

まじめなその経営者は、聞いた通り愚直に実行したものの、思った成果をあげることができなかったことが悔しかったようです。

しかし、他社や他業界から学んだことを実行することは素晴らしいことですが、それをそのまま実行して上手くいく程、経営とは簡単なことではありません。

特に気を付けたいのは、どの「程度(レベル)」で実行するか?ということです。

策の方向性は間違っていないものの、「程度(レベル)」を間違えると、冷えた体を温めるために熱湯をかけても火傷をしてしまうように、薬のつもりも過ぎたるは毒となってしまいます。

では、その策の「程度」をどのレベルで実行すべきかどうかはどのように判断したらよいのでしょうか?二つの「じょうきょう」に照らして計っていきましょう。

1つ目は「状況」です。業界と地域の特性を踏まえた、自社の競争環境と考えて下さい。自社の立ち位置がどこにあり、顧客のイメージや期待値がどこにあるかということです。
(この「状況」を計るということについては一筋縄ではいきませんので別稿に持ち越します)

2つ目は「情況」です。社員の心情を中心とした内部環境と考えて下さい。
社員のスキルや能力はどこに良さがあり、それを発揮するためのモチベーションはどの水準にあるかということです。

どれだけ良い策も、実行に移さなければただの妄想ですが、社長の構想が社員には妄想として扱われてしまう組織は多いものです。

「面従腹背」という言葉が指す通り、面(表の態度)では従っていながらも、腹(中の感情)が背くことは人間ですから多々あるでしょう。しかし、これが多々起こりうることを前提として考えている経営者が少ないように感じます。

もちろん、悪意をもって社長を欺くような社員は多くはありませんが、言葉程に行動が伴わない社員は多くいるのではないでしょうか?新しいことや苦手なことの優先順位を悪意なく下げてしまったり、無意識的にそれを避けてしまうような社員です。

社員の側に問題があることも少なくないですが、それを嘆いても始まりません。
社員の立場に降りて、社員の気持ちになって情況を推測し、社員に通じる言葉で何度も語りかけなければ、社員の腹が従になり積極的な行動が生まれることはないでしょう。また、会社の制度、日頃の人間関係や信頼関係、社員の直近の成功体験の量なども考慮に入れ、「情況」を好転させなければなりません。


自社の「状況」と「情況」を踏まえたうえで、策をどのように実行に載せるか?
多くの経営者は「状況」はある程度考慮して「この策はいける!」という判断を下すのですが、「情況」を考えず(読み違え)、「程度」の間違った落とし込みを実行する、というミスを起こしがちなように感じます。

新しいことを成果として形にするには、時間がかかるものですし、「程度」を順序よくあげるステップを踏まなければいけないものです。

御社の取り組みの「程度」は、「じょうきょう」に合っていますか?
 

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